技術情報

受信信号とノイズのレベルについて

はじめに

無線機器を使用する場合、通信状態の良し悪しや通信環境を知る上で受信信号レベルとノイズレベルは非常に重要な数値になります。このページでは受信信号レベルとノイズレベルについて記載します。

受信信号レベル

受信信号強度(レベル)はRSSI(Received Signal Strength Indicator)または、RSSと記載され、受信している信号の強さを示します。身近なところでは携帯電話やスマートフォンに表示されている信号強度を示す3~5本で表示されているものです。表示はスマートフォンなどのように簡易的に表示される場合もありますし、0~100などパーセントのような数字の場合もありますし、-90dBmのように絶対値で示される場合もあります。いずれでも数が大きいほど信号を強く受信していることを表しています。

ノイズレベル

ノイズ(雑音)は大きく分けて自然ノイズと人工ノイズがあります。自然ノイズは落雷や静電気、宇宙から来る宇宙線ノイズ等が挙げられます。人工ノイズは蛍光灯などのインバーターノイズや電源をON/OFFした時のスイッチングノイズ、他の無線機器からの信号もノイズになります。人工ノイズについては周辺からではなく、たとえばLCDパネルなど自機から出ている場合もあります。

これらの不要な信号レベルをノイズレベルと言います。ノイズレベルは低いほうが良いです。

S/N比(SN比)

SN比は目的としている信号(Signal)と雑音(Noise)の比をいいます。単位は主にdBを使用します。SN比は大きければ信号が強くノイズが弱いことを示していますので良いことを指します。

似た言葉としてD/U比があります。D/U比は希望波(Desired signal)と妨害波(Undesired signal)の比を指します。比較対象の表現が雑音なのか、妨害波なのかの違いで、通常は同じ事を指しています。

受信感度

無線機器にはたいていの場合受信感度の記載があります。以前は電圧表記の無線機もありましたが、現在はdBm表記がほとんどです。当社もdBm表記をしています。この数字が小さいほど無線機器としての受信感度が良いことを示しています。

通信距離と安定度

受信感度が良ければ電波は遠くまで飛ぶのか

受信感度が良ければ電波は遠くまで飛ぶのかという質問に対しての答えは一応イエスです。ただし条件があります。メーカーなどが行っている受信感度はアンテナ部分に直接信号を入れて測定を行っています。別の言い方をすると他の妨害波やノイズが極めて少ない状態で測定した結果で記載されています。

その一方電波を受信する場合、信号レベルがノイズレベルに対して一定レベル以上のマージンがないと受信する事ができません。

例えば当社のMU-2を使用して-100dBmの信号をフロアノイズレベル-120dBm前後状況ではS/N比が20dB以上ありますので受信できますが、-100dBmより20dB良い-80dBmの信号レベルでもフロアノイズレベルが-85dBm前後ではS/N比が5dBしかなく受信できません。

S/Nが20dB時のイメージ

S/Nが5dB時のイメージ

 

そのため長距離通信を行う場合、受信感度以上にノイズレベル、言い方を変えるとS/N比が高い状態になるように気を使う必要があります。

実測から見た結果

フロアノイズレベル

当社内にMU-2を設置し、@CAコマンドで429MHz帯の7~46chのRSSI(フロアノイズレベル)を30秒周期で100回取得しました。

上記データの最大値、最小値、100回目のRSSIを以下にプロットしてみました。

このことから、約50分の間に100回測定しただけでも6~8dBの値の変化があることがわかると思います。そのため1回の確認だけではなく長時間確認した上でフロアノイズのレベルがどのくらいあるか確認する必要があります。

また緑色の1回の測定ではみることができなかった15, 31, 43, 45チャネル等の使用が確認されました。

状況を十分な時間確認できない場合はノイズに対しての信号レベルは多めにマージンを取っておく必要があります。また他機器が同じ周波数を使用している可能性も考えておく必要があります。

S/Nの確認

当社内にMU-2を設置し、@CRコマンドで相手局の信号レベルとノイズレベルを30秒周期で100回取得したときのRSSIを以下にプロットしてみました。

このことから、同じ場所でおこなった通信でも約50分の間に10dB以上の変化があることがわかります。原因としては社内で人や物の行き来があることなどが挙げられます。実フィールドでも人や車の行き来がありますので、今回の上記結果以上に信号の変化がある可能性があります。

今回の確認結果より

MU-2は2値FSK通信のため、S/Nで考えた場合データを受信する場合は少なくても10dB以上確保する必要があります。また今回行った2つの確認より、約50分の確認だけでも10dB以上の変化がありましたので、実運用に使用する事を考えた場合、信号レベルの変化等も加味してS/Nのマージンは20~30dB必要なことがわかります。

普段長距離通信するとき、受信感度ばかり気にしがちですが、ノイズレベルも気にする必要があります。