技術情報

無線用語集

 

 

あ行

RE指令

RE指令は無線機器指令(Radio Equipment Directive)でEU内で流通している無線機器を対象にした指令です。RED、RE directiveなどのように略されて記載されている場合もあります。正式には2014/53/EUという番号で呼ばれています。
以前はR & TTE指令(1999/E/EC)が使用されていました。R & TTE指令が有線などの電気通信機器も対象だったのに対しRE指令は無線機器(放送機器も含む)が対象になります。

IoT

IoTはInternet of Thingsの略で日本語では「モノのインターネット」と訳される。モノがインターネットで通信を行うことを意味する。IoTという言葉が普及する前は機械同士の通信を示すM2Mが使われていましたが、IoTは機械以外のモノの通信も対象にしています。分かりやすいところではセンサや機器の状態の通信が挙げられますが、言葉自体は特定のことを指すのではなくモノのインターネット通信という広範囲なことを意味している。

ARIB標準規格(ARIB STD / ARIB standard)

ARIBはAssociation of Radio Industries Businessesの略で一般社団法人電波産業会です。通信・放送分野にて電波の利用に関する調査・研究・開発・標準規格策定などを行う国内の業界団体です。
標準規格は日本国内の法律や法令・規則に基づいてARIBが作成した規格になります。

ETSI

ETSIはEuropean Telecommunications Standards Instituteの略で欧州電気通信標準化協会です。ヨーロッパ圏の電気通信を管理する官公庁や電気通信事業者・メーカー・研究機関などから構成されており、電気通信における標準仕様を策定する非営利団体。米国のANSIに相当。本部はフランス。

FCC

FCCはFederal Communications Commissionの略で連邦通信委員会です。アメリカ合衆国政府の独立行政委員会で有線及び無線の通信や放送事業の規制・監督機関。

LPWA

LPWAはLow Power Wide Areaの略で、Bluetoothなど数十m程度の近距離無線通信よりさらに広範囲で通信するシステムを指す。LPWAN(Low Power Wide Area Network)と書かれる場合もある。明確な定義はないが、長距離で低消費電流のデータ通信を指すことが多い。代表的なものとしてはSigFoxやLoRa®技術を使ったWANが挙げられるが、Wi-SUNなど従来の規格もある。携帯網を利用したLTE-MやNB-IoT、Cat.NT1などもある。

奥村-秦カーブ

奥村 – 秦カーブ(奥村 – 秦モデル)は奥村善久氏がマイクロ波・移動無線(自動車電話)・セルラーの開発段階で無線機器の電波伝搬特性を開放地、郊外、中小都市、大都市の異なる環境で実測した集計データを元に作成した近似したカーブ(モデル)。

参考:無線技術情報 奥村・秦カーブ 計算ツール

 

か行

技術基準適合証明

登録証明機関において無線機器に対し試験を実施し、国が定めた電波法令の技術基準に適合していることを証明し、合格した製品には個体ごとに異なる技術基準適合証明番号が付与する制度。
どちらかというと試作品や少量生産品に多い。

技適マーク

技適マークは日本国内の電波法などの技術基準への適合性を確認した無線機器へ表示するマーク。技術基準適合証明、工事設計認証と技術基準適合認定のいずれかあるいは両者の認証がされていることを表示するマーク。

空中線電力

空中線電力は送信機がアンテナ(空中線)に供給する電波の電力。送信電力と記載されることもある。

工事設計認証

登録証明機関において申請された無線機器に対し試験を実施するほか、工場にて生産体制が機器を製造するにあたり工事設計に合致することを確保できるか審査を行い、工事設計認証番号が付与する制度。
どちらかというと量産品に多い。

 

さ行

サブギガ(Sub-GHz)

1[GHz]以下の周波数の無線の総称を指す。サブギガヘルツの略。

3次相互変調混信

参考:無線技術情報 3次相互変調混信及び遠近問題を考慮したチャネルプラン作成ツール

SINAD

SINADはSignal-to-Noise and Distortion Ratioの略で信号Signal、雑音Noise、歪みDistortionの各要素による無線機(受信機)の感度測定の値です。単位はdBで信号の質を示す。サイナド、シナドなどと呼ばれることが多い。
当社の無線モジュールのような狭帯域のFSKの機器ではBER以外にSINADが12dBの時の信号レベルである12dB SINADを記載している場合もある。

周波数

周波数は1秒あたりの振動回数を示し単位は「Hz」(ヘルツ)。周波数は電波以外に電気のサイクルや音波(音のトーンの高さ)でも使われている。例えば100[MHz]は100,000,000[Hz]なので1秒間に1億回振動すること示す。昔はサイクル(cやcps)が使われた製品もあったがSIのヘルツに統一された。

受信感度

受信感度は受信機の性能を示す重要な値の一つ。どのくらい弱い電波を受信できるかという能力を示すもので単位は「dBm」。受信感度を示す場合、BER・PERなどの条件も気にする必要がある。

BER表記

BERはBit Error Rateの略でビットあたりのエラー率を示す。たとえばBER=1%の場合、100ビット受信した時に1ビットエラーすることを示す。パーセントの値が小さいほど条件は厳しい。

PER表記

PERはPacket Error Rateの略でパケット(送信データのかたまり)あたりのエラー率を示す。PER=1%の場合、100回パケットデータを受信した時に1パケットエラーすることを示す。パケットサイズが大きいほどエラーが発生しやすいのでパケットサイズも気にする必要がある。

BERとPERを比較した場合、PERの方が1つの情報量が大きいので条件は厳しくなる。

受信信号強度表示(RSSI)

RSSIは、Received Signal Strength Indicator (Indication)の略で無線機器が受信する信号の強度を示す。

受信選択度

受信選択度は受信感度と共に受信機の性能を示す重要な値の一つ。受信機が妨害波(不要波)に対してどのくらい隔離して目的波(希望波)の信号を受信する事ができるかを示す。妨害波と希望波のレベル比で単位は「dB」。値が大きいほど妨害波の影響を受けにくくなる。受信選択度には3つのものがある。

隣接チャネル選択度

隣のチャネル帯域からの妨害波に対する選択度。

次隣接チャネル選択度

2つ離れたチャネル帯域からの妨害波に対する選択度。

同一チャネル選択度

同じチャネル帯域の妨害波に対する選択度。

スプリアス

スプリアスは目的周波数以外の不要な電波のことを指す。スプリアスには不要発射と帯域外発射がある。スプリアスは法律で上限が規定されており、スプリアスが小さいほど他の無線機器への影響が少なくなる。目的周波数の2倍、3倍の周波数に発生する不要な電波は高調波スプリアスと呼ばれている。

スプリアスレスポンス

スプリアスレスポンスはスプリアス応答と記載されている場合もある。受信機の構成上で、目的周波数以外の周波数で信号を受信する(影響を受ける)ポイントでの除去能力を示す。単位は「dB」で数字が大きいほど影響を受けない。
例えばスーパーヘテロダイン方式の場合、目的周波数の±10[MHz]または±20[MHz]付近、Low-IFのRFICの場合目的周波数の±数百[kHz]付近にこのポイントあることが多い。

占有周波数帯幅

占有周波数帯幅は搬送波の変調が占める周波数の範囲。単に占有帯域幅や帯域幅と記載されることもある。英語ではOccupied Band WidthでOBWと略して記載されていることもある。サブギガ(Sub-GHz:1[GHz]以下の周波数)では空中線電力の99[%]が含まれた周波数幅を定義。法律で上限が規定されており、帯域幅が小さいほど隣接する周波数への影響が少なくなる。

 

た行

電波

電波は電磁波の一種で中に含まれ、電波法で電磁波のうち赤外線よりも長い波長のもので「3,000[GHz] (3[THz]) 以下の周波数の電磁波」と規定されている。電磁波は他にX線や紫外線・可視光線・赤外線などがある。

電波型式

電波型式はWARC-79(世界無線通信主管庁会議)にて決められた表示方法。日本では総務省令電波法施行規則にて規定している。例えば2値FSKの場合、F1D(F:周波数変調 1:副搬送波を使用しないディジタル信号の単一チャネル D:データ伝送、遠隔測定、遠隔指令)となる。

登録局

2008年(平成20年)制度変更により新たにできたのが登録局です。登録局は免許局と特定小電力の中間的な制度で、事前に登録申請と開局届が必要なものの、免許を持たない人でも使用する事ができます。免許局とは異なり、レジャー目的で使用やレンタルも可能です。

特定小電力無線局

特定小電力無線局は総務省で定める一定の条件を満たした無線設備で無線従事者資格や無線局免許が不要な無線局。周波数は400[MHz]、1200[MHz]、920[MHz]、150[MHz]、315[MHz]などがあり、テレメーター用、テレコントロール用及びデータ伝送用をはじめ、医療用やラジオマイク、人・動物検知通報システムなど幅広く使われている。

 

な行

2波モデル

電波伝搬特性にて全反射する平面大地がある空間で、直接波と反射波の2波を受信するモデルをさす。直接波と反射波が逆位相となる点では互いに打ち消し合い受信電力が小さくなる。逆に同位相となる点では大きくなる。2波モデルに対し平面大地のない空間を自由空間という。

参考:電波伝搬特性(自由空間&2波モデル)計算ツール

 

は行

ハイトパターン

受信アンテナは直接波と大地反射波を受信するため、到達する電波の位相差により高さを変えたときにその合成波の受信電力が変化する。これをハイトパターンといい、山から山(谷から谷)の一定の間隔をハイトパターンピッチという。ピッチは周波数が高い(波長が短い)ほど間隔は狭くなり、距離により異なる。

参考:無線技術情報 ハイトパターン計算ツール

波長 λ(ラムダ)

波長λは電波1周期の長さを指す。電波は1秒間に30万[km]進むため、周波数がf[Hz]の場合、300,000,000[m] / f [Hz]。300[MHz]が1[m]。主にアンテナを考える場合に波長λを意識する必要がある。

フレネルゾーン

無線通信を行うときによく使う「見通し」を示すゾーン(空間)のことをいう。無線通信では「見通しが良い」ということは、単にお互いのアンテナが見えるという意味ではなく、フレネルゾーンがしっかり確保されている状態をいう。

参考:無線技術情報 フレネルゾーン計算ツール

ブロッキング

ブロッキングは妨害波に対する耐性を表す数字で、目的周波数から一定周波数離れた周波数(例えば±2[MHz]、±10[MHz]など)での不要波(妨害波)を除去する能力を示す。単位は「dB」で数字が大きいほど特性が良いことを示す。

変調・復調

有線の場合は送りたい信号(ベースバンド信号)、すなわち情報をそのまま信号線で送ることができますが、無線の場合、ベースバンド信号をそのまま送ることができません。無線では基本信号(搬送波・キャリア)に情報を載せて伝送します。この基本信号に情報を載せて送ることを変調といい、逆に受信した信号から情報を取り出すことを復調といいます。
無線モジュールは変調・復調をモジュール内部で行ないますので、特に意識することなく使用できます。

参考:変調・復調

変調方式

変調方式は、基本信号(搬送波)に対し、どのような方式で信号を伝送しているかを示す。代表的なものとしてアナログ変調では振幅変調(AM)、周波数変調(FM)、位相変調(PM)、デジタル変調では周波数偏移変調(FSK)、振幅偏移変調(ASK/OOK)、位相偏移変調(PSK)などがある。さらにこれらを多値化した4値、8値、16値・・・の方式もある。

 

ま行

免許局

免許局は法人など団体が業務で利用する事を目的とした無線局です。無線機を使用する場合、無線機ごとに申請して免許を取得する必要があります。団体の業務利用を目的としている為、免許に記載された団体に所属する人以外へのレンタルや使用ができません。2008年(平成20年)の制度変更により、免許局以外に登録局の制度ができました。

 

や行

 

 

ら行

隣接チャネル漏洩電力

使用するチャネルの隣のチャネル帯域に放射(漏洩)している電力を指す。英語ではAdjacent Channel leakage PowerでACPと略して記載されていることもある。ACPは0が理想的だが、実際はいくらかの漏れがある。単位は「dBm」。これに対し相対値で示したものを隣接チャネル漏洩電力比(Adjacent Channel Leakage Ratio)といいACPR/ACLRと略して記載されていることもある。単位は「dB」または「dBc」。
隣のチャネルへの影響を示す値で多くの規格で上限が規定されている。

LoRa®

LoRa®はLong Rangeの略でチャープスペクトラム拡散(CSS)技術から派生したスペクトラム拡散変調技術。Semtech社の技術で長距離かつ低電力で通信できるのが特徴。LPWA・IoTではLoRa®技術を使ったWANもある。

わ行

 


※ LoRa®マークとLoRa®ロゴはSemtech Corporationの登録商標です。