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はじめに

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本ページでは、無線技術を学ぶ上で必要となると思われる基礎事項をまとめてみました。
数式だけでは分かり難いものは、アプレットを使用して動作をビジュアルに確認できるようにしてみました。

 ※Javaアプレットを実行するためには、Javaランタイム環境(Java Runtime Environment バージョン 5.0以上)が必要です。
ダウンロードサイト:http://www.java.com/ja/download/download_the_latest.jsp

正弦波について

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変調や復調で使われる搬送波は、通常正弦波(余弦波を含む)と呼ばれるものです。最初に正弦波について復習しておきます。

正弦波は下図のような波形で、図のように円周上を一定速度で左回りに動いている赤い点を、右に投影した軌跡と考えられます。この赤い点は1秒間に周波数Fcの速さで左回りに動いています。
周波数fは図の円を1秒間に回った数で表し、単位はHz(ヘルツ)です。角度は一周が弧度法で2πラジアン(360度)で、一秒間に変化する位相を角周波数ωで表します。

角周波数ω[rad/s] = 2πf = 2π/T

従ってt秒間に変化する位相Φは以下の通りです。

位相Φ[rad] = 2πft

また、波長λは以下の通りです。

波長λ=光速c/周波数f


◇400MHzの正弦波の例
下図は周波数f=400MHz、周期T=の正弦波を表しています。
光の速度cを300,000,000m/1sとすると、波長λ及び周期Tは
λ=c/f=300,000km/400MHz=0.75m、 T=1/f=2.5ns

sin_02.gif

上図のような振幅A、周波数F、初期位相Φの正弦波をC(t)とすると、C(t)は次のような式になります。
eq035.gif

上図において下側に投影した余弦波の場合は次のような式になります。
eq034.gif 

波形とスペクトラム

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◇時間軸波形を周波数軸スペクトラムで考える
全ての時間軸波形は、ある位相及び振幅を持った無数の正弦波の合成です。この事実は無線の変調や復調を学ぶ上で非常に重要なことです。時間軸波形あるいは周波数軸スペクトラムだけを見ていては駄目で、両方を総合的に見ないと実態が見えてきません。時間軸波形を見てその周波数成分(スペクトラム)が見えたらしめたものです。(笑)
デジタル変調における1か0の情報信号は、実際のハードウェアでは矩形波です。矩形波は無限の正弦周波数の合成で、例えばPSK変調ではこの全ての周波数成分が受信機に正確に届かなければ波形を復元することができません。ただし、実際には帯域が広すぎるので不要帯域はフィルタリングされます。

時間軸波形とスペクトラムとの関係を確認するために、下図のようなアプレットを作ってみました。

wave.gif

画像クリック:  波の合成アプレット

 矩形波及び三角波は無限の奇数次高調波(正弦波)から構成されています。鋸波は奇数次及び偶数次の正弦波から構成されています。当然スペクトラムは無限の帯域に広がっています。大事なのは、一見無秩序な音声などのアナログ波形も幾つかの正弦波で構成されていると言うことです。矩形波を無線で送る場合を考えてみると、理想的には無限の帯域に広がったスペクトラムエネルギーを確実に伝送する必要があります。受信側では全てのスペクトラムが揃っていないと、時間軸波形として歪が生じてしまいエラーの原因になります。無線で信号を送るということは、通信品質に関連して、実はこのスペクトラムをいかに送るかという問題に帰結するのです。


◇線形変調と非線形変調
変調には線形変調と非線形変調があります。と言っても、増幅器がリニアかどうかと言うことではありません。
前述の通り、変調信号は多くの周波数の合成です。
線形変調は、PSKやASKのように、被変調波に変調信号自体のスペクトラムがそのまま残ります。非線形変調は、FSKのように、変調信号のスペクトラムそのものではなく、それ以外のスペクトラムが発生するものを言います。ASKやPSKは搬送波を振幅方向に変化させるのに対して、FSKは搬送波の周波数そのものを変化させてしまうので、スペクトラム形状が変調信号と違ってしまいます。

繰り返しになりますが、線形変調ではベースバンド信号が搬送波帯域に移っても、そのスペクトラム形状がそのまま保持されますが、非線形変調は搬送波帯でベースバンド信号のスペクトラム形状が変化します。また、FSKの被変調波には元の搬送波成分は無く、スペクトラム形状は変調指数に関連して大きく違ってきます。
線形変調された被変調波はリニアアンプで電力増幅しないと余分なスペクトラムが発生し、復調に際し問題となります。非線形変調のFM変調等では、非リニアアンプであるが電力効率の良いC級アンプが使用できます。

通常、ベースバンド信号は矩形波なので、そのスペクトラムは無限の帯域幅を持っています。従って周波数変換を行った搬送波帯でもスペクトラム広がってしまうので、帯域を制限する必要があります。ところが、搬送波帯で帯域制限を行うのは大変難しいので、通常はベースバンドで帯域制限します。この帯域制限を行うフィルタをパルス整形フィルタと呼びますが、このフィルタの特性が適切でないとシンボル時間内にフィルタ応答が収束せず時間的遅延を生じ、符号間干渉(ISI)が起こってしまい、復調特性が劣化します。裏方の無線機ですが、このような点も考慮して設計されています。

下のアプレットは、デジタル信号のスペクトラムがどの程度の帯域を持っているかを実感して貰うためのものです。また、フィルタでデジタル信号の帯域制限を行うと波形とスペクトラムがどのようになるかが分かります。

sqw01.gif

画像クリック:  デジタルデータのスペクトラムとフィルタリング アプレット

ミキサについて

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無線分野では「ミキサ(RF)」という言葉をよく使います。これはオーディオ分野で使う「ミキサ(AF)」とは違う原理動作なので、初めての人はその違いに戸惑います。
オーディオミキサは入力信号のレベル的な加算動作であるのに対し、無線のミキサは乗算動作です。
RFミキサはアナログ乗算器で、乗算器とか混合器、周波数混合器、周波数変換器などと呼ばれています。下図のように周波数の異なる2つの信号f1、f2を入力すると、出力には信号周波数の和(f1+f2)と差(f1-f2)の成分を含んだ信号が出てきます。
RFミキサによる乗算動作は、周波数変換(アップコンバージョン・ダウンコンバージョン)や変調・復調などに利用されており、非常に重要な処理です。
実際の電気回路で乗算に使用されるのは、ダイオードによるDBM(Double Balanced Mixer:二重平衡変調器)や、ICによるDBMなどです。

mix_01.gif

下図はRFミキサとAFミキサの違いを確認するアプレットです。RFミキサは乗算動作のため、スペクトラムを見ると一方の周波数が他方の中心周波数の両側に移動します。つまり、2つの信号の和と差の周波数が出力されます。また、AFミキサのスペクトラムレベルは信号と同レベルですが、RFミキサは乗算結果なので、片方の信号が0になると出力信号も0になります。スペクトラムを見ると、移動先の周波数成分は含まれていないことに注意して下さい。また同じ周波数で位相のみ違う場合の乗算結果には、位相量に応じた直流成分(スペクトラムの一番左の輝線)が出ます。

mix_00.gif

画像クリック:  RFミキサとAFミキサ アプレット

ベースバンド信号

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 ベースバンド信号とは”基底帯域の信号”という意味で、無線分野では変調前の変調信号や復調直後の信号のことを指します。デジタル変調のベースバンド信号は符号1、0のデジタルデータであり、変調方式によってダイポーラNRZ信号やユニポーラNRZ信号に割り付けます。
例えば、デジタル振幅変調ASKでは、搬送波とユニポーラNRZ信号を乗算し、デジタル位相変調では搬送波とダイポーラNRZ信号を乗算します。
ビットレートBrとビット継続時間Tbの関係は次のようになります。

ビットレート Br = 1/Tb

base01.gif

シンボルレートとビットレート

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デジタル変調方式ではシンボルとかシンボルレートいう言葉が頻繁に登場します。シンボルレートは変調速度のことで、単位はsps(symbol/second)です。シンボルは情報をどのような形で伝送するのかという、送信側と受信側の取り決めです。例えば2ビットを0,1,2,3vの電圧で送る場合で考えると、受信側では0vだとデータ00に、1vだとデータ01、2vだとデータ10、3vだとデータ11に判断できます。これは電圧でなくても4通りの周波数あるいは位相、振幅でも良いことになります。シンボルレートはこれらのシンボルの継続時間です。
シンボルレートはボーレートとも呼ばれますが、ビットレートと混同しないようにして下さい。

symbol01.gif

 シンボルレートの定義は以下のようになっています。

シンボルレート = ビットレート / 1シンボルで送ることができるビット数

例えばPSKにはBPSKやQPSKがありますが、BPSKの場合は1シンボル1ビットなので、シンボルレートはビットレートと同じになります。QPSKの場合は1シンボル2ビットなのでシンボルレートはビットレートの半分になります。4800bpsのデータを伝送する場合、BPSKでのシンボルレートは4800spsになり、QPSKでは2400spsとなります。
通信チャンネルの帯域幅はシンボルレートで決まるので、QPSKの帯域幅はBPSKの半分で良いことになります。8PSKの場合はBPSKの1/3となります。つまり、限られた電波資源の帯域幅の中でビットレートを上げるには、1シンボルに多くのビットを詰め込めば良いことになります。これをシンボルの多値化と言います。多値化の典型であるOFDMに至っては、そのシンボル波形は雑音のようです。
ただし多値化には当然限度があり、多いほどエラーが発生し通信距離が短くなる傾向です。電波でデータを送る場合、無線機で問題となるフェージングや雑音、周波数ズレなどに対し、受信側でいかに正確にビットを判別するかが技術力の差となります。
 

コンスタレーション

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 デジタル変調の本を調べると、頻繁にコンスタレーション(Constellation)という図が登場します。コンスタレーションは情報を表すデジタル信号と搬送波位相、振幅との関係を図にしたものです。コンスタレーションは英語では星座のことで、変調の信号点が座標上にちりばめられている様子が星座に似ているので名付けられました。
下図はQPSKのコンスタレーションです。QPSKは1シンボル2ビットなので、情報信号ビットストリームは2個毎に信号点に割り付けられます。搬送波の位相は変化しますが振幅は一定です。
PSKの場合信号点が円周上に配置されるので、多値化を進めると信号間の距離が短くなっていきます。信号間の距離は雑音に対する耐性に関係するので、PSKの多値化には限度があります。つまり、雑音やフェージングによって引き起こされるシンボル誤りは信号間距離に依存します。そこで信号間距離を確保するために、QAMなど変調方式を採用することもあります。例えば同一電力であれば、16値PSKより16QAMの方が1.6倍ほど信号間距離が長く雑音に強くなります。

consta02.gif

 下図は16QAMのコンスタレーションです。16QAMは1シンボル4ビットなので、情報信号ビットストリームは4個毎に符号点に割り付けられます。搬送波の位相と振幅が変化することが分かります。信号間距離は16値PSKよりも長くなり、エラー率も少なくなります。

consta01.gif

信号の直交性について

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デジタル変調ではIQ変調が行われますが、そのことを説明する本には随所に”直交”という言葉が出てきます。
直交の定義は以下のようなものです。

直交の定義: 2つの信号を乗算した結果を積分すると0になる。つまり2つの信号間には相関が無い。

2つの信号をf(x)、g(x)として、直交の定義を式にすると以下のようになります。

eq036.gif

2つの信号は直交しているので、それぞれの情報で変調された信号を独立して処理できるということらしいです。

下図は、sin波とcos波が直交していることについて直感的に説明するものです。
赤線は二つの信号を0~4π区間に渡って乗算した結果ですが、プラスとマイナスを相殺すると面積が0になり、直交していることが分かります。

iq02.gif

 何にやら難しいですがこの事実は、地上デジタル放送のOFDM変調をはじめとして、様々な無線機で利用されています。
詳細は”信号の直交性について”のページをご覧下さい。


◇直交性について理解するアプレット

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画像クリック:  ”信号の直交性について”のページ

各種変調方式のビットエラー率とEb/N0

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◇Eb/Noとは
Eb/No(イービー・バイ・エヌゼロ)とは「ビットエネルギー対雑音電力密度比」の事ですが、この意味は次のようなものです。

無線機の性能は主に、外部的な雑音と内部的な雑音を加算した総合雑音と、アンテナで受信する電波の強さ(電界強度)の比で決定されます。
その他の要因として、無線システムの変調方式の違いや、シンボルレートの違いでも性能は違ってきます。
例えば、ビットエラー率を評価する時は、これらの違いが大きく関係してきますが、変調方式やシンボルレートが違っても同じ尺度で評価する必要があり、Eb/Noという基準が用いられています。
色々なことについて言えるのですが、何かと何かを比較するためには同じ判断基準を以ってしないと、不公平(無意味)になってしまいます。案外この事が無視され、曖昧なまま評価されることが多いのが現実です。

Ebとはベースバンドにおける1ビット当たりの信号エネルギーのことで、ベースバンドの信号エネルギーとシンボルを構成するビット数の関数です。
Noとはベースバンドにおける雑音電力密度のことで、受信機の復調器の雑音電力と帯域幅から求められる値です。
Eb/Noはこれらの比で、変調方式の違いを吸収してエラー率という基準で同じ評価ができるのです。所要エラー率から所要Eb/Noが決まれば所要受信電力Cが求められ、伝搬損失等との関係から無線システムを把握することができます。

詳細は各種変調方式のビットエラー率とEb/N0のページをご覧下さい。

BER.gif

画像クリック:  各種変調方式のビットエラー率とEb/Noのページ

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