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アンテナの仕組み

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電波の波長の計算式は前に述べましたが、使用する周波数の波長の半分の長さ(λ/2)を持つアンテナが一番効率が良くなります。
例えば429MHzの周波数を使用する場合はその波長は約70cmなので、約35cmの長さのアンテナが一番効率が良くなります。送信機では限られた電力で電波を放射しなければならないし、受信機では飛んでくる電波を効率良くキャッチしなければなりません。この長さの時、アンテナと送信電波が共振状態になり最大電力が放射され、受信機でも受信電波とアンテナが共振状態になり最大電力をキャッチすることが出来ます。アンテナを曲げたり、丸めたりすると電波の減衰が激しくなります。
今日の機器は小型化傾向にあり、アンテナの長さが波長の1/4(λ/4)の物が多く使用されます。
λ/4接地アンテナはλ/2ダイポールアンテナの片側を大地(グランド:GND)に肩代わりしてもらうタイプのもので、グランドが非常に大切です。
特定小電力機器や携帯電話などのホイップアンテナも同じ仕組みの物で、ケースがグランドの役目をします。

 

アンテナの種類

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アンテナの種類にはホイップアンテナ、ダイポールアンテナ、八木・宇田アンテナ、パラボラアンテナ、ループアンテナなどがあります。

 

ホイップ(ロッド)アンテナ 携帯電話などに採用されているアンテナです。無指向性アンテナでどの方向に対しても均等な感度を持っています。
ダイポールアンテナ アマチュア無線などで使用されています。
八木・宇田アンテナ テレビアンテナなどに使用されているものです。指向性が強くなるので送信局に方向を合わせます。このアンテナはダイポールアンテナの前後に電波を導く導波器と電波を反射させる反射器をつけたものです。
パラボラアンテナ 衛星放送の受信に使用されているものです。とても指向性が強く方向調整が微妙ですが、電波の電力を効率良く扱うことができます。
ループアンテナ ループアンテナは電波の磁界の変化をキャッチします。目で見てループが一直線になる方向に電波は進みます。
受信アンテナも同じで、電波の磁界がループを横切るような方向に設置します。
誘電体アンテナ 高周波用誘電体セラミックスを使用したアンテナで小型化、高機能化が実現できます。

アンテナの指向特性

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アンテナには指向性アンテナと、無指向性アンテナがあります。
指向性のあるアンテナは通信相手の方向が決まっている場合などに使用します。周囲に余計な電波を放射しないし他方向からのノイズを拾わず、小電力でも効率良く伝送できるので便利です。特定方向への電波をビームと呼びます。
無指向性のアンテナは周囲に無駄な電波を放射したり、逆にあらゆる方向からノイズを拾うことになりますが、通信相手がどこにいても通信できるのでモバイル用途に向いています。
指向性アンテナには八木・宇田アンテナやパラボラアンテナなどがあります。無指向性アンテナにはホイップアンテナなどがあります。
次に指向性の図を示します。省略しますが、当然電波は立体的に放射されますので横から見た指向性パターンも考慮します。指向特性図は最大方向の電界強度に対する相対的な強度を表すもので電界指向特性とも言います。

 図:代表的アンテナの指向性

指向性アンテナと無指向性アンテナ
上の図でホイップアンテナは電波がどの方向にも均等に放射されているので無指向性アンテナです。八木・宇田アンテナやパラボラアンテナは特定方向に電波が放射されているので指向性アンテナ(ビームアンテナ)と言います。


メインローブ、サイドローブ、バックローブ
八木・宇田アンテナを例にとると、目的の方向への放射ビームで最大のものをメインローブ、それとは反対の方向に生じる不要な放射をサイドローブと言います。サイドローブの中で最大のものをバックローブと言います。


FB比
八木・宇田アンテナの指向特性を見るとメインローブとバックローブが発生していますが、アンテナの指向性の良さを表わすために、メインローブとバックローブとの比をとったものをFB(Front/Back)比と言い、デシベル(dB)で表示します。従ってこの値が大きいほど良いアンテナということになります。

 FB比の式

指向特性図は電界強度を表すので20logで計算します。

アンテナの利得

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アンテナを選ぶ時は指向性や利得の事が気になります。また、仕様書によっては利得の単位を[dBd]、[dB]としていたり[dBi]としていたりまちまちで、どちらを選んで良いのか見当が付きません。
ところで、アンテナは金属で出来ていてそこには電気的に増幅する回路は何も無いのに、利得があるのはちょっと不思議な感じがします。
アンテナの利得は、「同一電力を被測定アンテナと基準アンテナに加えた場合の電力の比」で表されます。
アンテナは入力されたエネルギーを一定方向に集中させることが出来ますが、この集中のさせ方が種類や個体によって差があります。つまり入力された電力を通信相手以外の方向にもばら撒くアンテナと、指向性を持たせ電力を効率良く集中させるアンテナでは到達距離に差が出ます。この差が利得の差になり、利得が高ければ高いほど指向性が鋭くなり、方向合わせが難しくなる事を意味します。

アンテナの利得は、「被試験アンテナと基準アンテナに同一電力を加えた場合の、最大電界方向での受信電力の比」で表します。アンテナの利得を表すにはアイソトロピックアンテナを基準にする方法と、他の種類のアンテナ(一般的にはλ/2半波長ダイポールアンテナ)を基準にする方法があります。*基準にアイソトロピックアンテナを用いる場合の利得を絶対利得と呼び、単位に[dBi]を使用します。
*基準に理想的な半波長(λ/2)ダイポールアンテナを用いる場合は相対利得と呼び、単位に[dBd]を使用します。

相対利得は基準となるアンテナの絶対利得と目的のアンテナの絶対利得の比に等しくなります。基準となる半波長(λ/2)ダイポールアンテナの絶対利得は2.14[dBi]なので、絶対利得がGa[dBi]のアンテナの相対利得Gr[dBd]は

相対利得Gr[dBd] = 絶対利得Ga[dBi] - 2.14[dB]
で求められます。つまり、dBdとdBiの間には 0[dBd] = 2.14[dBi] の関係があります。

アンテナの仕様で2.14dBiとあれば、これは理想半波長ダイポールアンテナと同等であることを意味します。

アンテナ利得の場合、[dBd]と[dB]の表示は同じ意味で、正式には[dBd]と書きます。
アイソトロピックアンテナは理論的な数式上のアンテナで、電波を全ての方向に同一強度で放射する、指向性が球状の仮想アンテナです。

インピーダンスマッチング

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高周波出力回路からアンテナに接続する時には電力を効率良く受け渡したり、電波の反射の問題を起こさないようにする必要があります。反射は信号源インピーダンスとアンテナのインピーダンスが合っていない場合に起こり、これを合わせることをインピーダンスマッチングと言います。反射とは、アンテナの方向に送った信号の一部が信号源の方へ戻って来てしまう事を指し、これが入射信号と合成され悪影響を及ぼします。
アンテナの仕様書には必ず「入力インピーダンス:50Ω」などと記載されているので、これに合うように接続回路でインピーダンスマッチングを行ないます。使用するケーブルもインピーダンスが合っていなければなりません。ケーブルのインピーダンスは単位長のインダクタンスとキャパシタンスで決まり、市販のケーブルは必ずインピーダンスが明記されています。

インピーダンスマッチングの方法は色々ありますが余りにも奥が深いので専門書に譲ることにします。

水平偏波と垂直偏波

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垂直に立ったアンテナから放射される電波の電界は大地に対して垂直になり、これを垂直偏波と言います。同じように水平置かれたアンテナでは電界は大地に対して水平ですのでこれを水平偏波と呼びます。衛星放送などでは円偏波も使用されています。
当然、電波をキャッチする双方のアンテナは偏波面が合っていなければロスが多くなってしまいます。

 水平偏波と垂直偏波

アンテナの材質

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アンテナには高周波電流が流れるので当然金属でなければなりません。従って、アンテナの材料には抵抗率が低い金属を使用しますが、銀や金では採算に合いませんし、鉄では錆びたり重かったりしますのでアンテナとしては適していません。一般的には抵抗率が低く、コストも安いのでアルミニウムのアンテナが使用されますがこれは比較的大型アンテナに使用されています。

携帯電話や特定小電力機器、微弱電波機器のような小型機器では形状記憶合金(チタンーニッケル合金)製のアンテナやステンレス製のアンテナ、誘電体アンテナなどが使用されています。また、ピアノ線のような簡易アンテナも使われます。

アンテナの使い方

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●アンテナは製品の外部でなるべく上部に取り付けるようにします。
●取り付け位置は出来るだけ人体から離れる所とします。特に750MHz以上の電波は人体に吸収され易いので注意します。人体に密着させるような機器は少なくとも2~3cmは離すようにします。
●無線モジュールを組み込むケースはABS樹脂などとし、電波を減衰させる金属ケースを使用する場合は無線モジュールの本体部分のみを収めアンテナは外部に出すようにします。また無線モジュールのケースと金属ケースは同電位になるようにします。
●アンテナは折り曲げたり丸めたりしてはいけません。
●電波の偏波面を双方で一致させます。
●アンテナを外部に引き出す場合は必ず同軸ケーブルを使用するようにし、インピーダンスマッチングを行ないます。

携帯電話のアンテナ

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携帯電話で使用されているアンテナは伸ばした時にはλ/4のホイップ(ロッド)アンテナとなり、収納状態では先端部にあるコイル状のヘリカルアンテナとなります。このヘリカルアンテナはホイップアンテナに比べ感度が良くないので、携帯電話はアンテナを伸ばして使うようにします。内部には受信専用のF型アンテナが内蔵されていて、このアンテナと外部アンテナで空間ダイバシティー方式の受信を行なって、パワーコントロールなどのような内部機能のコントロールを行なっています。指向性はモバイル用途ですので無指向性となっています。
携帯電話で使用している電波の周波数は下り800MHz、上り900MHzです。この中間の850MHzとしてアンテナの長さを(ヘリカルアンテナ除く)求めてみると

850MHzの場合の波長λは

 式:850MHzの場合の波長λ

となり、λ/4アンテナですので約9cm位となります。
携帯電話には800MHz帯と1500MHz帯のものがあり1500MHz帯のアンテナは短くなります。800MHz帯でも短かくした物もあります。
携帯電話のアンテナには上部ヘリカルアンテナと電気的に接続してλ/2波長のアンテナとしたものもあります。


携帯電話の上手な使い方

以上のような理由により携帯電話は次のような使い方をした方がトラブルなく、高品質の通話やデータ伝送ができます。

●アンテナはなるべく伸ばして使い、覆ってしまうような使い方はしないようにします。
●内部の上方にもアンテナが入っているので、持つ位置はなるべく下の方を持ちます。
●出来る限り体からアンテナを離すように心がけます。
●電波状態が悪いと感じたら少し移動したり回転してみます。
●アンテナには適切な長さがあります。改造や取替えは止めましょう。
●金属ストラップや金属部分に近づけないようにします。
●アンテナは垂直に立てて使用します。
●光るアンテナはいただけません。

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